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今時、剣と魔法のファンタジーストーリーなんて流行らないが、
コレはそんな時代、世界の話である。
ここに一つの魔術師ギルドがある。
数々の魔術師がここに集い、様々な研究をしていた。
そんなギルドの一室。今、最も注目されている研究を行う実験室。
一人の男が大きなガラスの容器を眺めていた。
「……。」
男は何も言わない。だが、その目はガラス容器の中身に
語りかけているように見える。男は何に語りかけている?
灰色に濁った怪しい液体の中、ソレはあった。
今はソレをソレとしか呼ぶ事ができない。
なぜならソレは今、何でもないからだ。
男はソレが何かになることを望んできた。
広くはない実験室の中で何年、何十年、こうして望んでいる。
これで何個目のソレに願いを託したのだろう。
数える事もやめた希望の数々は今までことごとく
砕かれてきた。
だがしかし、今回のソレは違ったのだ。
ソレは男の望む何かになった。
「デキソコナイ」
「言葉が……話せる……か?」
「…………ぅぁ……ん……。」
「そうか。」
広くは無い実験室、そこに今居るのは男だけではない。
今は「何か」になれたソレと男が居る。
だが「何か」は世界に該当するどれでもなかった。
「名前をやろう。オマエは今から『シノ』と名乗れ、そして呼ばれる。いいな?」
「……ぃ……しぃ……ぅの……。」
「そうだ。」
男は何でもない何かに名前を与えた。
男が何かに「シノ」と名づけてから数日後、
ギルドの幹部が慌しく集結した。
この建物で重要な人間しか入れず、重要な事を決める為の
重要な会議室に集結した。
「セドの所でシノと呼ばれるアレをどう思う。」
最初から部屋に居た貫禄ある紳士が切り出した。
「私は最初から反対だったんだ。」
「形はどうであれ成功と言えよう。」
「…………処分を提案する。」
「私の理想とはかけ離れていた。」
四人が答えた後、手を取り合ったまま、口を開かなかった二人が告げた。
「処分を。」
「処分を。」
「”シノ”の処分を!」
貫禄ある紳士は上着をひるがえし、片手を振りながら告げた。
その片手は一人へ向けられている。手だけではない、
紳士の眼光はその一人を強く責任を植え付ける目で射抜いていた。
「っ……承知。」
息をするのさえ苦しそうに、射抜かれた老人は答えた。
一礼をした後には、足跡だけが響く。
「シノ、私は親としての責任を取るつもりだ。」
ギルドを丘の上から眺めながら男は言った。
黒い布で覆われた何かが歩き始めた男を追う。
時折、男は黒い布で覆われた何かを振り返り、
自分について来ているかを確認していた。
「ローブを羽織らせたままでは動きにくいか?
ココから先は人影も無い、取ってやろう。」
「……ぁ?」
異形。
布を剥がれた下には、思わず目を閉じ、口を覆ってしまう少女が在った。
「ソレ」が少女である事がかろうじて解るのは、少女の顔があるからだ。
その体はひしゃげ、別の生物の形をとっている部位がある。
少女の顔と、それが人型である事を解らせる形が人の心に拒絶をもたらす。
いっそ、暗闇の洞窟に住まう化け物そのものであれば、人は心を痛めないだろう。
「うっ!」
ローブを剥がれたシノは身をかがめ、手の役割を果たす部位で
ローブを取り戻そうとする。シノの手は鋭く、勢い良く取り戻そうと
振ったがばかりに男に傷を負わせた。
「っっっ!!!!!!!ぅああああぅぅぅあ!!?」
「その姿を自ら恐れているのか。」
男はローブを広げ、うずくまったまま震え喚いているシノを覆ってやった。
震えも喚きもとたんに収まり、ローブの隙間から顔を除かせる。
「行こう。時間は無い。」
男は手を差し出す。シノは男を傷つけてしまった手を慎重に動かし、
男の手を受け取った。
男とシノは歩き続けた。
ギルドは深い森の中にあり、二人の行き先は常に木々が生い茂っている。
日差しは美しく、木漏れ日が目に眩い。
美しい森林の景色の中、血色の良く無い疲れた男の顔と、
全身ローブをまとった悲しそうな少女の顔があった。
「川の音……。」
疲れた顔を少し明るくした男が呟いた。
木々の葉を風が揺らす音に混ざり、小川の音が聞こえ始めた。
二人がどれだけ歩いたかわからないが、男の喉が渇いたのは確かだった。
「シノ、少し休もう。」
「?」
立ち止まった男を見てシノは不安そうに首を傾げた。
男はその仕草を見た時、シノに人を見た。
自分を「親」と言っておきながら、シノを化け物のように
思っていた自分を呪う。
「まだ私の名前を教えていなかったな。私はセドと名乗り、呼ばれる。」
「……?」
シノはまた首を傾げた。だが不安は無く、不思議そうな顔で首を傾げた。
男はその仕草を見て確信した。シノは化け物ではないのだと。
「シノ、君は水が飲めるか?」
言いながらセドはシノの肩をかかえて、水辺へ導く。
自分が先に水を手にすくい、口に運んだ。
シノの手を同じようにさせ、教えようと思った男は気づく。
「君の手では水をすくえないな……。」
悲しく笑った男は自分の手ですくった水をシノの口へ運ぶ。
シノは飲むものと解らず、その冷たさに驚いて後ずさってしまう。
男はその水をもう一度自分の口へ運び、一口飲んだ。
「ぁ……ぁ。」
解ったのか、別の意味か、首を縦に振った後、
シノは自分からセドの手より水を飲んだ。
喉を潤した後、水に慣れたシノを眺めながらセドは考える。
触れただけで驚いた水を今は遊び道具のように波打たせている。
学習能力の高さか、人の身に宿った知恵が残っていたのか。
直面し、触れて解る事もある。ああして遊ぶシノを見ては、
二つ返事で認める訳にはいかない。たとえ悪い自体が起ころうとも、
親として私はシノに選ばせてやりたい。
「シノ、そろそろ行こうか。」
「あ、……ぅぅ。」
シノは名残惜しそうに小川を見つめた後、セドを追った。
美しい木漏れ日もやがては木陰に埋もれ、空以上に地を黒く染めた。
血色の悪い男の顔は闇に支配された中では逆に白く浮かび、
シノのローブは完全に闇に紛れていた。それでもセドがシノを
見失わないのは、その体のモノとは思えない少女の瞳が
空の星を映していたからだった。
「シノ、星が綺麗だな。」
「ぅーーーー。」
自身の体の事も忘れ、その鋭く人のソレより長い手を空に向けて伸ばした。
もちろん宙に光る星に手が届くわけもなく、ずっと手を振っている。
時折、刃のように鋭い所へ写りこむ星を捕まえようとしているのだろう。
「ぁー……ぁーーーーー。」
「危ないな。」
「ぁーーー……?……ぁ?」
「っそろそろ今日は休もう。」
セドは「危ない」と言った事を後悔した。
言葉が伝わらないのは解っていたが、最初の時のように
自分のその手が恐ろしいモノだと気づかせてしまうと思ったからだ。
少し早くはあったが、とっさにその日の終わりを告げて誤魔化した。
セドが座り、息をついたのを確認すると、シノは自由な時間だと
認識しているのか。あちこち動き回っては自分の手に星を映しこんでいた。
「シノ、君は眠らなくて大丈夫なのか?」
「?」
『シノ』が自分を意味する音だと気づいたのか。
名前を呼びかければセドの音を聞くよう勤めるが、
その先の言葉は解らないようだった。
セドも話かけるだけ話かけた後は、そのまま横になってしまう。
横になったセドを不思議そうに見つめるシノ。
しばらくするとシノもセドの隣で横になった。
「おはようございます。」
朝、とは思えないほど薄暗い朝だった。
昨日の美しい木漏れ日が今日は無い。
雨を思わせる空の色は、そのまま世界を濁していた。
「おはようございます……。」
セドを呼びかける姿があった。
薄暗がりの朝でも、昨晩よりは映えて見える黒い布。
シノのローブ。
「おはようございます…………。」
そのローブから声は聞こえる。
「起きてください。」
「誰だ…………。」
セドが眠りから覚め始める。
そして自分の耳を疑い、目の前のシノを疑い、
自分の仮説を疑った。
「シノ……、私の言葉が解るのか?」
「はい。」
「昨日の事は覚えているか?」
「はい。昨日は申し訳御座いません。記憶はあるのですが、私が無かったようです。」
セドはシノに対して、様々な可能性から数々の仮説を考えていた。
しかし、目の前でシノに起きている自体は、どの仮説にも当てはまらない。
「なぜ今になって出てこれた。」
「なぜでしょう?」
シノはマヌけた声で質問に答えた。
「セド様、実験室の破壊工作、そして私の持ち出し、議会が許すと思っていますか?」
「愚問。」
淀んだ空、淀んだ地、元から美しくは無いその地がさらに歪み、怪しく色づく。
少しずつ膨らみ人の形を作り出す。泥で作った老人の像。
纏った法衣は豪華に彩られ、地位の高さを象徴するが、その彩は全てが地色だ。
泥の像としか思えないソレは、そのまま一歩を踏み出し動き始めた。
「セド、やってくれおったな。」
「……学長。」
「全試料の破壊、そして未完試験体の持ち出し、誤っての行いとしても許される事ではない。
それが故意だと言うならば、悪いがココで決議を実行せざる終えない。」
学長と呼ばれた泥の老人は、ギルドの会議室で責任を植えつけられた人物だった。
「伊佐、神の領域に踏み込んで怖気づいたのかセド。まだ間に合う。過ちと認めろ。」
「セド様。」
「ほぅ、口を利くようになったか、流石だ。ギルドへ帰れ、そして研究を続けろ。」
「学長……、お話は以上でしょうか。」
「っ!」
グォォォアアアアアアアアアアア
地に埋もれていた獣の骸が蘇る。セドの死霊術。
「セド様、後戻りできません。」
「解っている。」
「残念だよ……セド。」
老人の無念の声も消えぬ内に迫る骸。その数は1や2では無い。
骸の先には骸、その隙間が無くなる程に老人の視界を埋め尽くした。
その迫り来る数に老人は何も興味を示す事はない。
迫る骸の歪んだ刃が老人に触れた途端、一瞬にしてソコから老人の姿は消えた。
「見せ付ける必要も無いはずだ。私に君を止める力は無い。」
「宣戦布告……軽率だったか。」
歩きながら呟いたセドの言葉を聴いてシノが顔色を変える。
「軽率!?貴方は何をしたか解っているのですか!!?」
「愚問。」
「議会を……ギルド自体を敵に回して、貴方は何がしたいのです。」
「恩返しだ。」
「!?……貴方という人は!」
昨日まで呻き声しか口にしなかったシノから感情剥き出しの言葉が出る。
セドはそれに最初こそ驚いたが、今は至って自然だった。
まるで二人は以前から知り合った者同士のように、言い合う。
二人の行く先は突然に開け、幾つもの剣が地に突き刺された景色が広がった。
「歩兵の戦場?」
「辺りも暗い、今日はココで夜を明かそう。」
「……。」
突き刺された剣の下には、その剣の持ち主が眠る。
そんな場所で眠り、夜を越し、朝を迎えようと言うにも関わらず、
シノは呆れた顔をして何も反論はしなかった。
夜風の当たらない大木を背に、腰を落ち着かせたセドが剣を見つめる。
「懐かしいな、二人で死体を掘り起こした日々。」
「思い出話をする時ではないのでは無いですか。」
「明日死ぬかもしれないからこそ、思い出に浸らせてくれ。」
「流石に弱気ですね。」
「君には苦労をかけた。その体の責任を取る。」
「……そんな貴方は貴方じゃない。」
語る二人。夜空を流れる月。その流れを知り、その日の
終わりを互いに感じ取り、口を閉じた。
「目覚めは、最悪だ。」
二人の朝は穏やかではなかった。
セドはむせ返る煙に目を覚ますと、辺り一面は火の海だった。
シノを起こし、逃げ道を探す。
「ストックの骸も火炙りでは役に立たなかったな。」
「学長のご老体が考えそうな事ですね。」
昨日の老人の陰謀か、勝てぬと自ら告げた上での手口がコレなのか。
二人が眠った周囲を囲むように放たれた火は、逃げ道を残さず
広がり迫っている。二人が供に逃げ場が無いのを知った時には
既に残された地は僅かだった。
「セド様、少し離れて頂けますか。」
「!?」
言ってシノが身をよじらせた。途端、異型のその手が波打つ。
内からはち切れそうに一部が膨らみ、また一部が膨らむ。
泡立ち広がる泥水のように、シノの腕は大きく、禍々しいモノに変わっていく。
そして一閃。大地をえぐる様に大振りされたその腕は、ものの見事に
炎ごと地面を吹き飛ばした。
助かった。
しかし、二人してその顔は沈んでいた。
炎の海を抜けた二人を待っていたのは言うまでもない、
泥の老人その人だった。
「セド、君はトンでもないモノを作ってくれたな。」
「我ながら再認識しています。」
言うだけ言って泥の老人像はそのまま砕け、塵となり、風に乗り消えていった。
残された二人。シノを見つめるセド、巨大な恐怖の腕となったシノ。
「私は……セド様のモノです。ですがお願いです。この腕は切り落として頂けますか。」
「良いのか。」
頷く、というよりも、うずめた首を更に垂れ下げて返事をするシノ。
突き刺された剣を抜き取り、術をかける。
あれだけの事を遣り遂げる魔の腕に、そのままの剣など通る筈も無い。
セドの歪んだ魔力が剣に注がれた。
「許せ。」
「申し訳御座いません。」
絶叫が森に響いた。
シノの傷はすぐに癒えた。腕一本切り落としておきながら、
出血死に至る事もなく、すぐさま再生を始めたのだ。
が、再生した腕は腕などと呼べる形を留めては居なかった。
痛みのあまり気絶したシノ。
そして目覚め、再生した腕を見たシノは涙を止める事ができなかった。
セドはたた、その手を覆い隠すように、ローブを直してやる事しか
出来ない。
「セド様……わがままを……聞いては頂けませんか。」
「駄目だ。」
「では、最初で最後の、自分勝手を許して下さい。」
「っ……!!」
再生した腕、それもまた命を奪うに容易い力を持っていた。
たとえその対象が自身の命であろうと、容易く奪える程。
しかし、その力がシノの恐怖を根こそぎかき消すには至らなかった。
「ソコまでして……貴方は自分の研究成果を人に渡したくないのですか!!?」
「違う……。」
シノが自身に向けた刃を、セドは流れる血をかまう事もなく、強く握り止めていた。
「私は、君に死なれては困るのだ。」
「でしたら頭だけ吹き飛ばして体だけお持ちください!私はもう耐えられない!!」
「違うと言っている!私は君に恩返しをしなければならない!」
「……、セド様?」
「生きてくれ、シノ。」
シノの発狂は収まった。
しかし、うつろな瞳でセドを見つめ続けるだけで、何も口にはしない。
時折再生した腕が、自身の思いとは別に動く度、暗い顔を更に歪める。
セドはそんなシノの肩を抱き、無表情のまま歩き続ける。
「シノ、村だ。」
「……。」
二日歩き詰めてやっと人里を見つけた時には、既に色々な事がありすぎた。
シノの心は動き出し、体は変化し、そして心が壊れた。
セドは何を思うのか。
村は規模が大きく、しっかりと人々の暮らしを見るが、
それぞれの建物は非常に粗末なモノである。
セドは食料を手にする事が出来る店を探して歩く。
シノは抱かれた肩に従い連れられるだけだった。
二人の服はこの村では目立つ。
村民がボロ布のような一枚布を羽織るだけの中、
二人の服は、魔術師ギルドから支給される研究者用の
術者法衣だ。その1つでしかないシノのローブでさえ
細かな装飾が施されている。
歩く二人を村民が揃って凝視した。
正気でないシノには最早どうでもいい事だったかもしれない。
だが、セドには耐え難い苦痛となった。
諦めて村を後にして先を進もうと考え始めた時、
シノのローブが翻された。
「貴様っ!?」
「っ!!」
そのままローブを剥かれ、持ち去られる。
ソレを待っていたかの如く、周囲の村民も襲いかかろうとした。
だが、その勢い良く踏み出された足は一歩目にして止まり、
後ずさっていく。
「ばっ、……ばけっえええええ!!!」
「化け物だっ!!!!!」
「うはあややあうあうあああああああ!!!!!」
一斉に逃げ出す。二人を囲った内側から、一人ずつ一人ずつ、
悲鳴と逃走を繰り返す。その悲鳴一つ一つが、シノの心を蝕み、
閉ざした茨の戸を開いていく。
「あああああああああぁぁぁぁぁぁあぁぁあああああ!!!!!」
爆発したシノ。その化け物の体を化け物の動きに移し、
次々と音を消していく。時として感じさせるよりも以前に、
周囲は沈黙が支配した。そして始まる、シノの叫び。
「化け物!!セド様化け物です!!早く処理しないと!!!!」
狂ったような笑顔をして涙を流すシノ。
それでも、ただ無表情のままのセド。
「シノ、君を」
「セド様!駄目です!早く!早く私を殺して!!!!」
「君を愛している。」
「いやぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!」
シノはセドに迫り、その異形なる手で捕らえた。
眼前まで刃を迫らせ、命の終わりを告げる。
「見てくださいセド様、今の私はこんな事もできる。」
「それでもだ。」
「こんな私を愛している?可愛そうなセド様。」
「愛している。」
「っ……、人が見ただけで逃げだす私を貴方は抱きしめてくれる!?」
「愚問。」
「抱ける!?」
「愚問。」
「ぅぅぅぅぅぅううううあああああああああぁぁぁぁぁ…………。」
刃を下げ、狂気の顔を和らげたシノが語る。
「私も貴方を愛している。その心も知っている。
だから貴方の力になりたくて、そうした。
だけど……現実はこんな結果。怖かった。」
「逃げよう。逃げられる所まで、殺される時まで供に生きよう。」
シュン
音が、響いた。
ゴト
シノは目の前の出来事に何一つ対応できない。
セドは残された数秒の意識の中、全てを理解した。
人が立っている。
逃げ出した村民が残したボロ小屋の上に人が立っている。
貫禄ある紳士が拍手をしていた。
「有難う。良いモノを見せて貰ったよ。」
ボロ小屋から紳士が飛ぶ。そして着地する。
グシャアアア
「っっっっ!!!!!!!!」
シノが遅れて理解し始める。始まった途端に終わった事を。
紳士は業とらしく、着地先を踏みしめると、笑いながら
両手を空へ向けて死の言葉を口ずさみ始めた。
程なくしてシノも全てを理解した。
2007/12/09設置